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熊田 高之; 阿久津 和宏*; 大石 一城*; 森川 利明*; 河村 幸彦*; 佐原 雅恵*; 鈴木 淳市*; 鳥飼 直也*
no journal, ,
スピンコントラスト法は、中性子の水素核に対する散乱能がスピンに依存する性質を利用して、無偏極試料の散乱からは得られない複合材料における特定成分間の構造的な結びつきを決定する手法である。我々は、これまで小角散乱測定に限定されてきたスピンコントラスト法を新たに中性子反射率測定に展開することにより、複合薄膜材料が作る複雑な表面・界面構造を一意に決定するスピンコントラスト中性子反射率法を開発した。実験は、反射率実験に合わせて新たに開発した水素核偏極装置をJ-PARC偏極中性子反射率計SHARAKU (BL17)に組み込み、シリコン基板上にスピンコートした高分子薄膜試料を測定した。結果、水素核偏極度20%において最大10倍程度異なる非相似の反射率曲線2本が得られた。2本の曲線を同一の構造因子をもちいて解析したところ、薄膜試料表裏2面の面粗さを一意に決定することに成功した。発表ではこれらの成果を報告するとともに、実験から明らかになった今後改良すべき点について言及する。
大場 洋次郎; 足立 望*; 戸高 義一*; 間宮 広明*
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HPT(high-pressure torsion)加工は、試料の力学特性と磁気特性に影響を与えることから、構造材料研究および磁性材料研究において注目されている。そこで、HPT加工によって形成されるミクロ組織と磁気構造の特徴を調べるため、中性子小角散乱法を用いてHPT加工した純鉄の解析を行った。測定の結果、HPT加工によって純鉄中にナノサイズの磁気構造が形成されることを見出した。この磁気ナノ構造は、純鉄中で磁気異方性エネルギーが局所的に変化していることに起因しており、ナノサイズで電子状態の変化が生じていることを示唆している。これは、HPT加工した純鉄で観測された潤滑油膜の吸着挙動の変化と関連している可能性がある。また、磁気異方性は磁性材料にとって重要な値であることから、新たな磁性材料開発に応用できる可能性がある。
社本 真一; 伊藤 孝; 大西 弘明; 森 道康; 松浦 直人*; 赤津 光洋*; 中村 充孝; 稲村 泰弘; 山内 宏樹; 中尾 朗子*; et al.
no journal, ,
J-PARC MLFの中性子非弾性散乱装置DNA、4SEASONSおよびAMATERASを用いて、10eVから30meVまでのエネルギー範囲でマグノン状態密度を求めたので報告する。
中島 健次; 河村 聖子; 古府 麻衣子; 菊地 龍弥*; 稲村 泰弘
no journal, ,
J-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)の中性子分光器の1台である冷中性子ディスクチョッパー型分光器AMATERASは、2017年で運用開始から9年目を迎える。平成29年は、MLFの共用が再開された2月後半から夏期長期停止期間前の6月末までに16件の一般課題、3件の原子力機構プロジェクト課題、1件の元素戦略課題を実施している。また、AMATERASで行われた研究の成果として10月末までに5本の学術論文、2件の学位論文(修士)等が発表されている。装置としては、クライオマグネット専用ラジアルコリメーターの導入、検出器増設、検出器バンク間のベーンの改修、真空槽真空排気系の自動バタフライバルブの導入、DAQ CPUの更新等の機器整備を進めている。一方で、平成28年度より不具合の続いている第3高速ディスクチョッパー、真空槽排気系のクライオポンプの対応も進めている。発表では、これらAMATERASの近況を報告する。
中谷 健; 稲村 泰弘; 森山 健太郎*
no journal, ,
装置制御ソフトウェアフレームワークIROHA2はJ-PARC, MLFの共用ビームラインのいくつかに導入され、実運用されている。IROHA2ではデバイス制御, 装置管理, シーケンス管理, 統合制御といったサーバーが連携して実験機能を提供しており、各サーバーはWebブラウザ上で操作可能である。IROHA2は2016年からの開発により、(1)デバイス制御サーバーの実時間データ処理インターフェース、(2)シーケンス管理サーバーの自動測定スクリプトWebインターフェース改良、(3)実験ステータスのインターネットからの監視、を実装しようとしている。(1)により、DAQミドルウェアが採用するのと同じ分散メッセージングミドルウェアを用いて、ファイルを介さずにリアルタイムにデータを処理することが可能になる。(2)では、従来装置制御のみであったシーケンス管理サーバーによる自動測定について制御と解析を組み合わせた自動実験を可能にする。(3)では、統合制御サーバーが生成する実験ステータスについて、MLF統合認証システムによる権限管理下でインターネットからのアクセスを可能にする。本発表では、これらの新しい機能の実装状況と今後の展開について示す。
中川 洋; 齋尾 智英*; 杉山 正明*; 井上 倫太郎*; 長尾 道弘*
no journal, ,
構造単位としてのドメインの揺らぎを明らかにすることは、様々な分子と相互作用するタンパク質の構造多形性や可塑性の分子基盤の理解に必要である。本研究では、3つのドメインからなるタンパク質MurDをターゲットとして、リガンドフリー状態、ATP結合状態、Compound1結合状態の3つの状態について、X線や中性子を用いた量子ビーム散乱法と分子シミュレーションの融合した相関構造解析法によりドメイン運動を解析した。溶液小角散乱実験では、3状態の溶液構造が異なることを示した。また分子シミュレーションから得られた散乱プロファイルとも良い一致を示し、低分解能の実験データから原子分解能で溶液構造を議論できることを確認した。分子シミュレーション結果の主成分解析からは、機能に関連したドメイン運動を抽出した。更に、このドメイン運動が、MurDの相互作用分子との結合に関与するアミノ酸残基の揺らぎとカップルしていることを示唆する結果が得られた。発表では、小角散乱に加え中性子スピンエコーを含めた動的な溶液構造解析の実験方法と計算科学の手法を融合した方法で、蛋白質のドメイン運動を原子分解能で可視化し、異なる空間スケールの階層間でカップルした動的構造から蛋白質の機能を議論する。
奥 隆之; 渡辺 真朗; 河村 聖子; 麻生 智一; 高橋 竜太*; 酒井 健二; 山内 康弘*; 中村 雅俊*; 宗像 孝司*; 石角 元志*; et al.
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J-PARC物質生命科学実験施設には、試料環境機器(SE)チームが組織され、ビームライン(BL)共通試料環境機器の整備および利用支援を行っている。SEチームは、(1)低温&磁場、(2)高温、(3)高圧、(4)ソフトマター、(5)パルスマグネット、(6)光照射、(7) Heスピンフィルターのサブチームで構成されている。また、特殊試料環境として、パルスマグネット等の整備も進めており、近い将来、ユーザー実験に供する計画である。学会では、SEチームが取り組んでいるビームライン共通試料環境機器整備の状況と今後の計画、及び利用支援活動について発表する。
安井 幸夫*; 藤村 明央*; 大森 喜由*; 井川 直樹; 松川 健*; 吉田 幸彦*; 星川 晃範*; 石垣 徹*
no journal, ,
CsCuMoOの粉末中性子回折実験を行い、磁気転移温度以下での磁気構造を調べた。その結果、Cuスピンは軸方向にcollinearに配列し、リボン鎖内では強磁性的、リボン鎖間では反強磁性的な磁気構造をもつことが分かった。これは強磁性的なが強く反映された磁気構造と考えられる。本講演では、この物質に関する磁気構造解析の詳細について報告する。
堀江 映仁*; 安井 幸夫*; 五十嵐 太一*; 山本 貴史*; 三澤 一輝*; 寺崎 一郎*; 松川 健*; 星川 晃範*; 石垣 徹*; 井川 直樹
no journal, ,
BaCoCaRuO多結晶試料に対して中性子回折実験及び磁化率・比熱の測定を実施した。Ca置換量の増加に伴い磁気転移温度は減少し、 =0.3では = 76Kまで下がることが分かった。中性子結晶構造解析から、Coよりもイオン半径の大きなCaに置換することで格子定数は増加するが、その一方で、Ru-Ruボンド長は縮小することが分かった。講演ではBaCoCaRuOの磁気特性や磁気状態の詳細について議論する。
原田 正英; 杉原 健太*; 勅使河原 誠; 高田 弘; 池田 裕二郎
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J-PARCの物質・生命科学実験施設の将来計画として、第2核破砕中性子源(TS2)の検討を開始した。検討では、3GeV陽子ビームを標的に入射させ、液体水素減速材により冷熱中性子ビームを取り出す既存システム基本構成を踏襲した。中性子標的の候補として、高電流密度の陽子ビームを受けられると期待される回転式タングステンを選択した。まず、中性子強度を最大とする標的形状の最適化を行った。評価では、粒子輸送計算コードPHITSを用い、回転標的(直径90cm、厚さ8cmの円盤状)の下部に、液体水素減速材(12cm角の立方体)を設置し、ベリリウム反射体(外形:直径60cm、高さ60cmの円柱状)及び鉄反射体(外形:直径1.5m、高さ1.5mの円柱状)で囲った簡素なモデルを用い、3GeVの陽子ビームを入射させた。ポイントタリー及び面タリーを用いて、減速材表面から漏洩する中性子強度を計算した。標的の表面材質、位置、サイズ及び陽子ビームプロファイル等をパラメータとして、中性子強度が最大となる条件を求めた。中性子強度は、標的の表面材質や陽子ビームプロファイルにはあまり依存性が無く、標的厚さが6cmのときに最大になることが分かった。
甲斐 哲也; Su, Y. H.; 廣井 孝介; 篠原 武尚; 及川 健一; 林田 洋寿*; Parker, J. D.*; 松本 吉弘*; 瀬川 麻里子; 中谷 健; et al.
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リチウムイオン2次電池の負極材料に使用されているグラファイトの面間距離は、リチウムイオンが層間に入る効果により、電池の充電量の増加に伴って広がることが知られている。ブラッグエッジイメージング技術を用いて測定したグラファイトの面間距離から、充電量の空間分布を知ることが可能であることが報告されているが、応用研究への展開では、様々な条件での測定が必要であり、測定時間の短縮が必要である。試料の中性子透過率を導出するためは、試料あり/なしの測定を行って比を取る必要が有るが、試料なしの測定時に検出器の最大計数率が不十分で中性子強度が制限されるため、測定時間の短縮が困難であった。そこで、透過率を導出せずに面間距離の変化に伴うブラッグエッジ波長の変化のみから充電量変化を求めることした。これにより、陽子ビーム強度150kWでも、20分程の測定でリチウムイオン電池の充電量の空間分布を測定することが可能となった。
廣井 孝介; 篠原 武尚; 林田 洋寿*; Parker, J. D.*; 及川 健一; Su, Y. H.; 甲斐 哲也; 鬼柳 善明*
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方向性電磁鋼板はトランスの鉄心等に広く利用される磁性材料であり、その磁気特性の向上のためには鋼板内部の磁区構造を理解することが重要となる。偏極中性子を用いた磁気イメージング法を用いれば、絶縁皮膜を除去することなく鋼板内部の磁区構造を観察することが可能であり、Kerr顕微鏡等では観察できなかった実使用状態の磁区構造を観察できる。本発表では、我々がJ-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)で開発を行っている偏極パルス中性子イメージング法を用いて方向性電磁鋼板内部の磁区構造を観察した結果を報告する。入射中性子の偏極方向とスピン解析方向、中性子波長を適切に選択することにより、鋼板厚0.23mmの皮膜付き電磁鋼板内部の縞状磁区構造や外部磁場を印加した際の変化の観察に成功した。
樹神 克明; 石角 元志*; 池田 一貴*; 社本 真一; 大友 季哉*
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鉄系超伝導体の母相であるPrFeAsOについて、J-PARCに設置されている全散乱装置NOVAを用いて粉末中性子回折実験を行い、得られた強度データを原子対相関関数(atomic pair distribution function: PDF)に変換してその局所構造を調べた。結晶構造が空間群Cmmaをもつ斜方晶になっている20Kでは、PDFにみられるPr-As間の原子対相関ピークだけが結晶構造から期待されるものよりブロードになっていることがわかった。このブロードなPr-As相関ピークは反転対称性が破れた空間群Aem2の対称性を持つ局所構造歪みを仮定すると理解できる。この空間群Aem2は水素置換系LaFeAsOHの過剰置換領域で現れる第2の超伝導相(x0.3)の母相(AF2相)における空間群と等しい。発表ではLaFeAsOおよびNdFeAsOのPDFを用いた局所構造解析の結果も合わせて紹介する。
柴田 薫; 川北 至信; 藤原 悟*; 中川 洋; 山田 武*; 富永 大輝*; 松浦 直人*
no journal, ,
J-PARCセンター物質・生命科学実験施設に設置され1.6micro eV以下の高エネルギー分解能を実現したシリコン結晶アナライザー背面反射TOF型高エネルギー分解能分光器DNAは高S/N比で広帯域に亘るmicro eV分解の非弾性散乱・準弾性散乱測定を世界に先駆けて実現した。現在DNA分光器は供用ビームラインとして、生体関連高分子、ソフトマター、機能性物質、強相関電子系試料などでナノ秒時間スケールの原子・分子・スピンの運動の測定を行い、広い研究分野の研究に供されている。そのなかでも生体高分子のダイナミクスの測定および機能性との関連性の研究は、DNA分光器の設計・設置の時からの主なる研究テーマの1つである。DNA分光器における生体関連物質をはじめとする研究状況および今後の研究計画について発表する。
川崎 卓郎; Harjo, S.; 相澤 一也
no journal, ,
J-PARC物質・生命科学実験施設BL19の工学材料回折装置「匠」では、TOF中性子回折を用いて、鉄鋼・Mg合金・Ti合金などの金属材料や誘電体・イオン伝導体セラミックスなど機能性材料の様々な試料環境下での力学特性・機能・構造の評価、機械・熱加工によって製造された構造物内部の応力分布の評価などを行っている。2017年度は、これまでにデータ処理ソフトウェアの更新、および周辺環境と光学機器の整備を完了した。また、新規試料環境機器の導入や曲げ試験その場測定の試みが進行中であり、力学負荷試験中の中性子回折強度と試験片温度分布の同時測定技術の導入も検討している。さらに、焦電効果を利用した温度変化する熱源からの電力回生技術を開発するプロジェクトに参画し、材料評価法の研究に着手している。当日は2017年11月末現在における匠の状況と、最近の研究例、匠を用いて実施されている課題の傾向などについて報告する。
若井 栄一; 直江 崇; 勅使河原 誠; 涌井 隆; 粉川 広行; 羽賀 勝洋; 原田 正英; 高田 弘
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大強度の加速器標的施設を利用した物質・生命科学や産業の発展のため、中性子源標的やその標的容器、モデレータ、陽子ビーム窓等の機器類の性能を長期安定に保ち、より高い運転出力に対応していくことが重要課題である。これらの機器は高エネルギー陽子ビームや2次反応で生じた粒子線によって材料特性が徐々に劣化していくため、機器類の劣化挙動測定とデータ拡充やその定量的評価方法の高度化が必要である。実機ターゲット材や容器等を使った材料試験によるデータ拡充や弾き出し損傷量のエネルギー依存性評価が行なわれている。原子炉照射環境と最も異なる点は中性子エネルギースペクトルとパルス陽子ビームが挙げられる。前者は、より高いエネルギーを持つ中性子場ではHe生成率が高く、材料中に生成されるHeは延性に大きな影響を及ぼすため、正確な値を評価することが重要である。また、パルスビームにより、水銀中で衝撃波が発生し、材料はキャビテーション損傷を受ける。本発表では、J-PARC核破砕中性子源ターゲット機器類に対し、これらの最新情報を基に評価した損傷挙動予測法の高度化の内容と大強度化運転における今後の対策の方向性等を報告する。
稲村 泰弘; 中谷 健; 伊藤 崇芳*; 安 芳次*; 大下 英敏*
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「空蝉」は、J-PARC, MLFにおける中性子散乱用データ処理・解析可視化環境の一つであり、多くのビームラインで導入が進められているソフトウェア群である。特にデータ処理機能の面では、MLFが採用したデータ収集方式であるイベント記録方式をいち早く実用化し、特に非弾性散乱装置の解析環境として、例えば今や世界のスタンダードな測定として広まったMulti-Ei手法の実現や、単結晶試料の多次元データ測定・可視化手法の実現などに貢献してきた。一方でMLFでは長い間、測定中のデータを解析してその場で結果を見たいという要望に対し、十分に対応できていなかった。平成28年度よりMLF計算環境チームでは、分散メッセージングミドルウェアRedisとデータ収集システムを組み合わせたシステムを用い、リアルタイムな情報取得やデータ処理を目指した開発に取り組んでいる。空蝉も率先してこのシステムを活用しイベント記録方式と組み合わせたリアルタイムデータ処理(Live Data Reduction)機能の開発を進めている。
Harjo, S.; 川崎 卓郎; 相澤 一也; 友田 陽*
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ラースマルテンサイト鋼は高強度の構造材料の一つとして知られている。引張試験で得られた応力ひずみ曲線から弾性限が低く最初の塑性変形では強度が高く加工硬化が大きいが、その加工硬化をもたらす変形機構が知られていない。本研究ではラースマルテンサイト鋼の変形機構を明らかにするために引張変形中のその場中性子回折実験をJ-PARC匠を用いて行った。変形中に得られた中性子回折パターンから格子応力、転位密度、転位配置等を評価した。組織観察では確認ができなかった残留オーステナイトは約3.7%存在し硬質相を振る舞ったことはわかった。また、マルテンサイト相の転位密度は変形中に若干増加したが転位配置は大きく変化した。この転位配置の変化は大きな加工強化を引き起こした。
關 義親; 篠原 武尚; 上野 若菜; Parker, J. D.*; 松本 吉弘*; 佐本 哲雄*
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3枚の格子からなるTalbot-Lau干渉計を用いたイメージングでは、サンプルによって引き起こされる中性子波の吸収・屈折・(小角)散乱の効果を、干渉縞の平均強度・位相・ビジビリティーの変化からそれぞれ可視化することができる。われわれはJ-PARC物質・生命科学実験施設BL22に設置されているエネルギー分析型イメージング装置RADENにおいて、パルスビームと偏極ビーム利用を中心とした中性子Talbot-Lau干渉イメージング技術の開発を進めている。大強度パルスビームで波長分解測定を行うと、位相変化の波長分散を抑えた高統計・高コントラストの微分位相イメージを得ることができる。ビジビリティー変化の波長依存性は、小角散乱をもたらす微小構造の空間スケールに対応しているため、異なる相関距離の構造情報を同時に取得できる。また、偏極ビームを適用すると磁気ポテンシャル有感型の位相イメージングを行うことができる。さらに、干渉計に用いるビームの空間コヒーレンスを通常より高めると、サンプル透過後のエネルギー変化をイメージングできる可能性がある。本講演では、これまでに行った金属標準試料や電磁鋼板を対象とした原理実証実験について報告し、今後の開発計画を述べる。
篠原 武尚; 甲斐 哲也; 及川 健一; 瀬川 麻里子; 中谷 健; 廣井 孝介; Su, Y. H.; 林田 洋寿*; 松本 吉弘*; Parker, J. D.*; et al.
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J-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)のBL22に設置されたエネルギー分析型中性子イメージング装置「螺鈿」(RADEN)は、MW級のパルス中性子実験施設に建設された世界最初のイメージング実験装置であり、短パルス中性子の特徴を高度に活用した本格的なエネルギー分析型中性子イメージング実験(ブラッグエッジ・共鳴吸収・偏極中性子イメージング)が実施可能である。本装置は2015年度の共用運転開始以降、国内外のユーザーによる本格的な実験成果が出つつある状況であり、また、並行してパルス中性子イメージング手法開発が装置グループを中心に継続して進められている。本発表では、これまでの螺鈿の利用状況ならびに現在進められている手法開発、応用研究の最新の状況について報告する。